
マイクロ波加熱を用いた水素還元反応の制御
水素を還元材として用いる製鉄プロセスは、CO2排出量を大幅に削減できる有望な低炭素製鉄技術として注目されています。
一方で、水素還元反応は反応速度や進行様式が温度履歴や反応場に強く依存するため、反応の精密な制御が重要な課題となります。
大野研究室では、水素還元反応場の新たな制御手法としてマイクロ波加熱に着目しています。
マイクロ波加熱は、物質内部で直接発熱を生じさせることが可能であり、高い昇温速度と高効率なエネルギー供給を実現します。
また、試料が断熱空間内にあっても加熱が容易であるため、任意のガス雰囲気下での反応制御および反応ガス回収にも適しています。
本研究室では、マイクロ波加熱を鉄鉱石の水素還元反応に適用し、反応速度、反応進行挙動、粒子内部の反応不均一性などに与える影響を
実験的に明らかにしてきました。特に、水素を還元材として用いた鉄鉱石還元反応にマイクロ波加熱を適用した研究は、世界に先駆けて報告しています。
これらの研究を通じて、マイクロ波によるエネルギー付与が水素還元反応の進行様式をどのように変化させるかを
反応工学・移動現象論の観点から解析し、次世代水素製鉄プロセスの基盤となる反応制御指針の構築を目指しています。
代表的な研究例:
Effect of the Ratio of Magnetite Particle Size to Microwave Penetration Depth on Reduction Reaction Behaviour by H2
Ahmadreza Amini, Ko-ichiro Ohno ほか, Scientific Reports, 8 (2018), Article No. 15023
教育・アウトリーチ活動(補足)
大野研究室では、最先端の製鉄プロセス研究と並行して、次世代の研究人材育成にも積極的に取り組んでいます。
本研究テーマの一部には、QFC-SP「九州大学未来創生科学者育成プロジェクト」を通じて高校生が研究活動に参加しており、実際の研究現場を体験しながら科学的思考力を育成する機会を提供しています。

図 九州大学未来創生科学者育成プロジェクト(QFC-SP)における研究活動の様子
![反応制御学研究室[大野研究室 / Ohno LAB.]](https://www.ironmaking.kyushu-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2025/04/スクリーンショット-2025-04-07-16.54.15.png)