製鉄プロセスの原料である鉄鉱石は,高炉において還元されることで鉄へと生まれ変わります.高炉は数千m3の内容積を持つ巨大な反応容器であり,内部のスムーズなガス流れは安定操業の必須条件となります.このガス流れの制御において重要なのは,高炉下部における昇温に伴い還元過程の鉱石が軟化溶融して発生する融着帯と呼ばれる領域の適切な形状制御になります.鉱石の軟化溶融現象は,鉱石が還元されて生じた金属鉄の溶解や,鉄鉱石中脈石成分の溶解といった固液の相変態を伴う非常に複雑な現象です.当研究室では鉱石の軟化・溶融挙動を直接測定するために開発した,急速昇温・急速冷却が可能な荷重軟化試験装置とマイクロCT測定技術を用いて,その現象解明に取り組んでいます.
例えば: 高炉内融着帯における酸性ペレットおよびオリビンペレットの軟化挙動, Antti Kemppainen, 大野 光一郎, Mikko Iljana, Olli Mattila, Timo Paananen, Eetu-Pekka Heikkinen, 前田 敬之, 国友 和也, Timo Fabritius, 鉄と鋼, 103(2017), 4, pp. 175-183